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塗装ガイド

外壁塗装の塗料の種類と選び方

外壁塗装の塗料は、「何年くらいもたせたいか」「外壁材と今の状態」「予算」の3つから選びます。樹脂のグレード(アクリル → ウレタン → シリコン → ラジカル制御形 → フッ素 → 無機)が上がるほど耐候性と価格の目安は上がりますが、どの塗料でも下地処理と塗装仕様が適切でなければ本来の性能は出ません。初めての塗装で迷う場合は、まず外壁材と状態を確認し、候補を2〜3種類に絞って、見積書で製品名・塗り回数・面積を比べるのが現実的です。

塗料は 3 つの視点で選ぶ

  1. 何年くらいもたせたいか樹脂の種類(グレード)で、耐候性の目安と価格の傾向が決まる
  2. 外壁材と今の状態外壁材によって、合う下塗りや塗料が変わる
  3. 予算塗料代は総額の一部。工事全体とあわせて見る

塗料とは、顔料(色)・樹脂・溶剤・添加剤からできている材料で、乾くと塗膜になって外壁を紫外線や雨から守ります。塗膜の耐候性(紫外線や雨で劣化しにくい性質)を主に左右するのが樹脂の種類で、塗料の「グレード」はこの樹脂で分けるのが一般的です。

塗料選びで見る項目

  • 住宅塗装用の塗料缶のイメージ

見積書に書かれた塗料を比べるときは、製品名だけでなく次の項目を見ます。順番は、上から確認するのがおすすめです。

  • 樹脂の種類(グレード):耐候性の目安と価格の傾向が決まる
  • 外壁材との相性:モルタル・窯業系サイディング・ALC・金属で、合う下塗りや塗料が変わる
  • 水性か溶剤(弱溶剤)か:臭いの少なさ、低温時の施工性、既存塗膜との相性
  • 1液か2液か:扱いやすさと、密着・乾燥・塗膜の強さのバランス
  • 機能:低汚染、防藻・防カビ、遮熱(屋根用)、透湿、弾性など
  • 色とつや:濃い色は色あせが目立ちやすく、メーカーの目安年数は淡い色を基準にしていることが多い
  • 価格と、工事全体に占める割合:塗料代は総額の一部。足場・洗浄・下地処理・付帯部とあわせて見る

主要な塗料分類の違い

住宅の外壁塗装でよく使われる分類を、耐候性の低い順に並べます。年数は塗料メーカーが「期待耐用年数」などとして公表している目安で、標準的な環境・適切な施工を前提にした数値であり、保証値ではないと各社が注記しています(日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研の公表資料より。前提条件はメーカーごとに異なります)。

樹脂のグレードと、耐候性・価格の目安の向き

  1. アクリル
  2. ウレタン
  3. シリコン
  4. ラジカル制御形
  5. フッ素
  6. 無機
耐候性の目安
低い高い
価格の目安
低い高い

グレードが上がるほど目安は上がる傾向です。同じ分類でも製品によって差があり、ラジカル制御形には価格がシリコンに近い製品もあります。年数の目安は下の比較表で確認できます。

アクリル樹脂塗料
最も基本的な塗料。価格は低めですが、耐候性は他の分類より低く、外壁の上塗りに使うと塗り替えの間隔が短くなります。
ウレタン樹脂塗料
価格と耐候性のバランスがよく、付帯部(雨樋・破風など)や細かな部位でも使われます。外壁の上塗りとして選ぶ場合は、シリコン以上の分類と耐候性・価格を比べて決めます。
シリコン樹脂塗料
外壁の塗り替えで最も多く使われている分類(日本ペイントの用語集による)。価格と耐候性のバランスが取りやすく、製品の種類も多いため比較の基準になります。
ラジカル制御形塗料
塗膜の劣化を進める「ラジカル」という物質の発生を抑える技術を使った塗料。シリコンとフッ素の中間のグレードとして位置づけるメーカーがあり(日本ペイント)、価格はシリコンに近い製品もあります。
フッ素樹脂塗料
耐候性に優れ、長くもたせたい場合の選択肢。価格は高めです。長く住む予定の家や、足場代のかかる大きな家で、塗り替え回数を減らしたいときに検討します。
無機(無機ハイブリッド)塗料
無機成分を主体にした塗料で、日本ペイントは自社の無機塗料についてフッ素樹脂塗料を上回る耐候性があるとしています。価格は最も高い分類です。ただし製品差が大きく、施工できる下地や塗装条件が限られる場合があります。

塗料の分類ごとの比較表(耐候性の目安・価格・向いているケース)

年数の出典は、関西ペイントとエスケー化研が一般的な目安として公表している値(FAQ)と、各社の製品ページです。同じ分類でも製品によって差があるため、見積書ではメーカー名と製品名まで確認してください。

外壁用塗料の分類と目安(年数はメーカー公表の期待耐用年数・塗り替え目安。保証値ではない)
分類耐候性の目安(メーカー公表)価格の傾向向いているケース注意点
アクリル5〜7年前後(関西ペイント)/5〜8年(エスケー化研)低い短期間だけ持てばよい建物、仮設的な用途外壁の上塗りでは塗り替えの間隔が短くなりやすい
ウレタン8〜10年前後(関西ペイント・エスケー化研)やや低い付帯部、細かな部位、費用を抑えたい場合外壁全体では次の塗り替えが早めに来る
シリコン12〜15年前後(関西ペイント)/10〜15年(エスケー化研)中多くの戸建て住宅の塗り替え。比較の基準製品差が大きい。「シリコン」の表記だけで決めない
ラジカル制御形製品例:12〜14年(促進耐候性試験にもとづく推測値・アステックペイント)、14〜16年(塗り替え時期の目安・エスケー化研)中(シリコン寄り)シリコンの価格帯で耐候性を一段上げたい場合分類としての一般的な年数は公表が少なく、製品ごとに確認する
フッ素15〜20年前後(関西ペイント・エスケー化研)高い長く住む予定、塗り替え回数を減らしたい、大きな家下地や既存塗膜の状態が悪いと性能を生かせない
無機(無機ハイブリッド)製品例:17〜20年(関西ペイントのリフォーム向け製品の「塗り替え目安」)最も高いフッ素以上の耐候性を求める場合製品差・施工条件の制約が大きい。「無機なら安心」とは限らない

上の表は「どれが一番よいか」を決めるものではありません。建物の残りの居住年数と、1回の工事にかける費用のバランスで、合う分類は変わります。

耐候性だけで選べない理由

グレードの高い塗料が、その家に一番合う塗料とは限りません。

下地処理と塗装仕様の方が、仕上がりを左右する

住宅リフォーム・紛争処理支援センターには、塗装後1年弱で塗膜がはがれた相談事例があり、専門家は古いシーリングの上にそのまま塗装したことが主な原因と考えられると助言しています。高いグレードの塗料でも、洗浄・補修・下塗りが適切でなければ、メーカーの目安年数は意味を持ちません。施工への考え方と工事の流れでは、塗る前の状態確認と下地づくりを工程として説明しています。

外壁材との相性

  • 表面の仕上げが異なる外壁材を並べたイメージ
    外壁材の表面の違い(イメージ)
窯業系サイディング
新築戸建ての約8割で使われている外壁材(日本窯業外装材協会のウェブサイト)。表面の塗膜と継ぎ目のシーリングはどちらも永久ではなく、塗装のときにシーリングの打ち替えをあわせて検討します。
モルタル
ひび割れが出やすいため、ひびに追従する弾性塗料や、可とう形(微弾性)の下塗り材を使う改修仕様が一般的です(日本建築仕上材工業会)。
ALC
気泡を含むパネルで、仕上げ塗材の防水性・弾性がパネルの耐久性を左右します(ALC協会)。透湿性や防水性を見て塗料を選びます。
金属サイディング・鉄部
さび止めの効果がある下塗り(プライマー)が必要です。アルミやステンレスは塗料が付きにくく、専用の下塗りを使うか、塗装しない判断になることもあります。
屋根(スレート・金属)
屋根は外壁より紫外線と熱の影響が強いため、屋根用の塗料が外壁用とは別に設計されています。遮熱効果をうたう屋根用塗料には JIS K 5675(屋根用高日射反射率塗料)の規格があります。詳しくは屋根塗装のページへ。

色・つや・立地

目安年数の前提はメーカーごとに違います。関西ペイントは淡彩色を基準とした目安と明記し、日本ペイントは色相・つやで期待耐用年数は変わらないとしています。濃い色は色あせが目立ちやすい点は、見た目の変化として考慮します。日当たりの強い面、海に近い地域、交通量の多い道路沿いなど、立地によっても劣化の進み方は変わります。

価格との考え方

塗料のグレードを上げると、増えるのは主に塗料代の差額です。足場・洗浄・下地処理・付帯部・シーリングなどの費用はグレードに関係なくかかるため、総額に占める塗料代の割合は思ったより小さいことがあります。逆に、同じ「シリコン」と書かれていても、製品・塗り回数・希釈の仕方で費用と仕上がりは変わります。

見積書では「メーカー名・製品名」「塗り回数(下塗り・中塗り・上塗り)」「塗装面積(㎡)」が書かれているかを確認してください。確認する項目は見積りの見方で順番に整理しています。マッハ塗装の公開価格と含まれる工事は外壁塗装の価格で説明しています。

よくある誤解

「水性より溶剤(油性)の方が長持ちする」

日本ペイントのFAQでは、塗膜になってしまえば大きな性能差はないとされています。水性は臭いが少なく、溶剤形は低温でも乾きやすく作業性に優れる、という違いで選びます。

「2液の方が1液より長持ちする」

同じグレードであれば耐候性に大きな違いはない、というのがメーカーの説明です。2液は密着や乾燥、塗膜の強さに優れる一方、混ぜてから使える時間に制約があります。

「無機なら絶対に長持ちする」

無機塗料は製品差が大きく、下地や施工条件の制約もあります。目安年数も「建物の立地条件や環境によって異なる」とメーカー自身が注記しています。

「遮熱塗料を塗れば必ず涼しくなる」

遮熱効果は建物の構造、断熱材、換気、開口部の面積、立地などで変わります(エスケー化研FAQ)。屋根用の規格はありますが、効果の感じ方は条件次第です。

「高い塗料ほど安心」

塗料の性能は、洗浄・補修・下塗りが適切であって初めて発揮されます。塗料のグレードより先に、建物の状態確認と工事の範囲を確認してください。

実際の施工事例で使われている塗料

マッハ塗装の施工事例では、事例ごとに使用塗料(メーカー名・製品名)、工事内容、築年数、価格帯を記載しています。「この建物でこの塗料を選んだ」という具体例として、塗料を比較するときの参考にしてください。

塗料で迷ったら

  • 外壁塗装の色を相談しているイメージ
    色選びの相談イメージ

塗料は単体で選ぶものではなく、外壁材・状態・工事範囲とセットで決まります。マッハ塗装では、外壁・屋根とも日本ペイント株式会社の塗料を使用し、建物の素材・状態・部位に合わせて製品を選定しています(主な採用例は外壁塗装の価格に掲載)。マッハ塗装の店舗では、建物の状態を確認したうえで、候補になる塗料と、それを選ぶ理由を見積りとあわせてご説明します。相談先は店舗一覧からお探しください。

参考にした公的機関・メーカー等の情報

外壁塗装の塗料の種類と選び方についてよくある質問

外壁塗装の塗料は何年もちますか?

塗料メーカーが公表している一般的な目安は、ウレタンで8〜10年前後、シリコンで10〜15年前後、フッ素で15〜20年前後です(関西ペイント・エスケー化研のFAQより)。ただし、これは標準的な環境・適切な施工を前提にした目安で、保証値ではありません(前提条件はメーカーごとに異なります)。日当たり、立地、外壁材、下地の状態、前回の塗装の内容によって、実際の持ちは変わります。

シリコンとフッ素はどちらを選べばよいですか?

長く住む予定で塗り替え回数を減らしたい場合はフッ素、費用と耐候性のバランスを取りたい場合はシリコンが候補になります。ただし、フッ素を選んでも下地や既存塗膜の状態が悪ければ性能を生かせません。残りの居住年数、1回の工事にかけられる費用、建物の状態の3つで決めてください。

「ラジカル制御形」とは何ですか?

塗膜の劣化を進める「ラジカル」という物質が顔料(酸化チタン)から発生するのを抑える技術を使った塗料です。シリコンとフッ素の中間のグレードとして位置づけるメーカーがあり(日本ペイント)、シリコンに近い価格帯の製品もあります。分類としての一般的な年数は公表が少ないため、製品ごとに期待耐用年数を確認してください。

水性塗料と油性(溶剤)塗料はどちらがよいですか?

塗膜になってしまえば大きな性能差はない、というのが日本ペイントの説明です。水性は臭いが少なく、住宅の塗り替えで多く使われます。溶剤形(弱溶剤)は低温でも乾きやすく、作業性に優れます。既存の塗膜との相性で選べない組み合わせもあるため、現場の状態を見て決めます。

遮熱塗料を塗れば夏は涼しくなりますか?

屋根用の遮熱塗料には JIS K 5675(屋根用高日射反射率塗料)という規格があり、太陽光の近赤外線を反射する性能が定められています。ただし、室内の温度の変化は建物の構造、断熱材、換気、開口部の面積、立地などによって異なります。効果を一律の数字で約束することはできません。

塗料のメーカーや製品名は見積書に書いてもらえますか?

書いてもらってください。製品名が分かれば、メーカーの公式サイトで樹脂の分類や期待耐用年数を確認でき、他社の見積りとも比べられます。製品名が書かれていない見積書は、どの塗料を使うのかを質問してから判断してください。